福利厚生を充実させるメリット6選!トレンドやデメリット解消方法も

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福利厚生を充実させるメリット6選!
トレンドやデメリット解消方法も

はじめに

福利厚生の導入や見直しを検討する中で、そのメリットについて知っておきたい人事・総務担当者の方は多いのではないでしょうか。福利厚生には、企業のイメージアップや採用力の強化といったメリットがある一方で、デメリットも存在しているため、両者を正しく把握しておくことが大切です。

本記事では、福利厚生の概要や種類を詳しく紹介したうえで、福利厚生を充実させる6つのメリット、4つのデメリットを解説します。デメリットによる影響を最小限にするためのポイントも紹介するので、福利厚生の見直しや導入を検討する際の参考にしてみてください。

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福利厚生とは

福利厚生とは

福利厚生とは、企業が給与とは別に従業員及びその家族へ提供する報酬・サービスのことです。ここでは、福利厚生の目的や種類について詳しく見ていきましょう。

福利厚生の目的

企業が福利厚生を導入・整備する目的は、従業員の満足度や働くモチベーションをアップさせ、中長期的に安定して就労してもらうことにあります。かつては、新卒で入社した企業に従業員が定年まで勤める終身雇用が一般的でしたが、昨今は日本経済の低迷やグローバリズムの台頭などによって雇用の流動化が加速しています。

また、就活生や求職者の多くが、企業を選ぶうえで福利厚生といった待遇面を重視していることも、企業が福利厚生の導入・整備を図る目的です。福利厚生を充実させて競合他社と差別化することで、より優秀な人材を採用できる可能性が高まるでしょう。

対象となる人

福利厚生の対象は、正社員に限らず、契約社員やパートタイム労働者を含めたすべての従業員となっています。契約社員やパートタイム労働者に関しては、2020年4月に改正パートタイム・有期雇用労働法が施行されたことにより、正社員との待遇差を生じさせることは禁止されました。

なお、基本的にすべての従業員が福利厚生を利用できるものの、一部の福利厚生に関しては利用条件が存在します。たとえば社宅制度の場合、賃貸物件を借りている従業員が対象であったり、年齢や役職によって入居制限が設けられていたりと、企業によって利用できる対象者が異なります。

導入するべき福利厚生の最低ラインについては、以下の記事でも解説しています。
>>福利厚生の最低ラインと導入するとよい法定外福利厚生とは

福利厚生の種類

福利厚生の種類

福利厚生の種類は、以下の2つに大きく分かれます。

  • 法定福利厚生
  • 法定外福利厚生

以下の項目で、種類ごとの詳しい特徴を確認していきましょう。

法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律によって規定された福利厚生で、各企業で整備が義務付けられています。健康保険や雇用保険など、以下6種類が法定福利厚生に含まれています。

種類 内容
健康保険 病気やケガの医療費等の一部を負担する保険
厚生年金保険 65歳以上から受け取る公的年金のための保険
雇用保険 労働者が失業給付や休業給付などを受けるための保険
介護保険 要介護・要支援認定を受けた被保険者を対象に、介護サービス費用の一部を負担する保険
労災保険 業務もしくは通勤による負傷・疾病・障害などに必要な給付を行う保険
子ども・子育て拠出金 子育て支援にかかる費用に充てられる税金

法定福利厚生は提供が義務化されているため、企業側は従業員ごとにしっかりと管理する必要があります。

法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、各企業が独自に導入している福利厚生を指します。法定福利厚生と異なり、設置義務はないものの、人材の定着率アップなどを図るためには重要な施策といえます。

一般的な法定外福利厚生としては、以下が挙げられます。

種類 内容
特別休暇 有給休暇以外に、長期連続休暇や子どもの看護休暇などを設置する
住宅 社宅の提供や住宅手当などで従業員の住宅関連のサポートを行う
育児・介護 法律の定めよりも長い育児休業・介護休業の設定や、企業内保育所の設置などによってサポートを行う
健康増進 従業員が利用するスポーツジムや、人間ドック受診にかかる費用の負担などを行う
慶弔・災害 慶弔見舞金や災害見舞金などで従業員とその家族を支援する

上表の中でも、社宅の提供や住宅手当など、従業員の住宅に関する福利厚生は人気が高い傾向にあります。

福利厚生の種類については、以下の記事でも詳しく説明しています。ぜひご覧ください。
>>福利厚生制度の種類や導入手順・サービス活用方法をわかりやすく紹介

福利厚生制度の現状

福利厚生制度の現状

次に、福利厚生制度の現状として、導入状況や従業員からの声、福利厚生のトレンドなどをチェックしていきましょう。

福利厚生の導入状況

前述のとおり、法定福利厚生は法的に導入が義務付けられている一方、法定外福利厚生の導入は各企業の裁量に任されています。労働政策研究・研修機構の資料によると、法定外福利厚生を導入している企業の中で、実際の導入率で上位を占めている制度は以下のとおりです。

【導入率が高い法定外福利厚生制度・施策】

  • 慶弔休暇制度:90.7%
  • 慶弔見舞金制度:86.5%
  • 病気休職制度:62.1%
  • 永年勤続表彰:49.5%
  • 人間ドック受診の補助:44.6%
  • 家賃補助や住宅手当の支給:44%
  • 社員旅行の実施、補助:43.5%
  • 労災補償給付の付加給付:40.1%

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査 ―企業/従業員アンケート調査結果―

なお、金額面で見ると、法定福利厚生の健康保険料や介護保険料などは企業と従業員が折半して負担することが基本です。一方、法定外福利厚生費は基本的に企業側の負担となります。家賃補助など住宅に関する費用は従業員1人あたり月額10,000~20,000円程度、慶弔見舞金などの費用は10,000~50,000円程度が目安となっています。

従業員からは不満の声も

福利厚生を導入すれば、従業員が必ず満足するというわけではありません。福利厚生の種類や内容によっては、以下のような不満の声が上がることもあります。

  • 提供されている制度が少ない
  • 使いにくい・使えない環境
  • 不公平感がある

それぞれの不満の声を詳しく確認していきましょう。

提供されている制度が少ない

整備・提供されている福利厚生制度が少ない場合、従業員によっては自分のニーズに合ったものがないために不満を抱くケースがあります。たとえば、通勤手当を福利厚生として導入している企業は多いものの、ほかの福利厚生が充実していないと不満を抱かれるおそれがあります。従業員のニーズを踏まえたうえで、福利厚生の充実を図ることが重要です。

使いにくい・使えない環境

福利厚生が使いにくい、あるいは従業員が使えない環境にある場合は、不満を抱かれる可能性があるでしょう。具体例を挙げると、福利厚生の申込の手続きが煩雑であったり、休暇が取りにくかったりすると、制度を活用するハードルが高くなってしまいます。

従業員がスムーズに制度を利用できるように、申込手続きの簡素化や休暇制度の充実を図るなど、総合的にバランスの取れた制度構築を目指すと良いでしょう。

不公平感がある

提供している福利厚生の種類や利用条件によっては、従業員が不公平を感じる可能性があります。たとえば、住宅手当や家族手当など、適用条件によって制度を使えない従業員が出てくると、福利厚生の恩恵が薄まって不満につながるかもしれません。

従業員の属性によってなるべく大きな差が生まれにくい福利厚生制度にすることが重要です。

福利厚生のトレンド

近年、福利厚生のトレンドとして人気なのが、従業員のワークライフバランスの充実につながる制度や、健康維持・改善を図れる制度です。労働政策研究・研修機構の資料によれば、従業員自身が「必要性が高いと思う制度・施策」として、以下のような福利厚生が人気を集めています。

【従業員の「必要性が高いと思う制度・施策」】

  • 人間ドック受診の補助:21.8%
  • 慶弔休暇制度:20%
  • 家賃補助や住宅手当の支給:18.7%
  • 病気休暇制度(有給休暇以外):18.5%
  • 病気休職制度:18.5%

出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査 ―企業/従業員アンケート調査結果―

先ほどのトレンドと照らし合わせると、家賃補助など住宅関連の福利厚生はワークライフバランスの充実につながる制度に当てはまります。また、人間ドック受診費用の補助などの福利厚生も、健康維持・改善を図れる制度として従業員からの人気が高いことがわかります。

人気の福利厚生については以下の記事で詳しくご紹介しています。
>>担当者必見、従業員に人気の"あると嬉しい"福利厚生制度とは?

福利厚生を充実させる6つのメリット

福利厚生を充実させる6つのメリット

福利厚生を充実させるメリットとして、以下6つが挙げられます。

  • 採用力の強化
  • 従業員満足度の向上
  • 業務生産性の促進
  • 企業のイメージアップ
  • 従業員の健康増進
  • 法人税の節税

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

1. 採用力の強化

近年は、求職者が求める条件として福利厚生の人気は高く、内容を細かくチェックされる傾向にあります。そのため、法定外福利厚生が充実している企業は、求職者から応募してもらいやすくなるほか、内定を承諾してもらいやすくなるといったメリットが期待できるでしょう。

2. 従業員満足度の向上

福利厚生を充実させれば、企業が従業員を大切にしていることが伝わったり、ワークライフバランスの取れた働き方を実現しやすくなったりします。従業員の満足度が高まることで、結果的に従業員の離職防止、定着率アップの施策となることは大きなメリットといえます。

優秀な人材が1人でも多く自社に定着してくれれば、採用や研修・教育にかかるコストの削減につながり、企業経営の安定性を高められるでしょう。

3. 業務生産性の促進

長期的に休める特別休暇などの福利厚生を導入すれば、従業員が仕事から離れてリフレッシュでき、オン・オフの切り替えが上手くできるようになります。結果として、仕事に対するモチベーションが高い状態で業務に従事でき、生産性がアップしやすくなるでしょう。

4. 企業のイメージアップ

従業員のニーズを汲み取った福利厚生を導入することで、企業が従業員を大切にしているという社会的な信頼の獲得や、ブランディングにつながり、企業のイメージが改善されるメリットが見込まれます。

特に近年は、企業のイメージを左右しかねない情報が、インターネットやSNSを通じてすぐに広まる傾向にあります。そのため、従業員が求めている福利厚生を充実させる重要性は高く、若年層や転職者層に対してアピールできる福利厚生を設置すれば、SNSを利用した採用活動なども強化しやすくなります。

5. 従業員の健康増進

福利厚生として、スポーツジムや人間ドックなどを無料あるいは割引価格で利用できれば、従業員の健康増進につながります。従業員の心身の健康は、本人のみならず組織運営にも影響を与えうるため、福利厚生を通じて従業員の健康改善に働きかけることは重要です。

6. 法人税の節税

福利厚生の費用は、一定の条件を満たせば福利厚生費として経費計上が可能です。そのため、法人税の節税につながる利点があります。福利厚生は従業員が働きやすい環境を構築する制度ですが、企業側にも大きなメリットがあるのです。

福利厚生を充実させる4つのデメリット

福利厚生を充実させる4つのデメリット

福利厚生を充実させることによって、以下のようなデメリットが生じるケースもあります。

  • 導入・運用費用がかかる
  • 管理業務の負担が大きい
  • 全従業員のニーズを満たすのは難しい
  • 一度導入すると廃止しづらい

福利厚生の導入効果を高めるためにも、それぞれのデメリットの内容を確認していきましょう。

1. 導入・運用費用がかかる

福利厚生を導入し、運用し続けるには大きなコストがかかるというデメリットがあります。法定福利厚生はもちろんのこと、法定外福利厚生も従業員の働く意欲を向上させるために必要な制度ですが、従業員からのニーズが高い福利厚生をじっくりと選定したうえで導入・運用し、コストパフォーマンスを高めることが重要です。

2. 管理業務の負担が大きい

福利厚生を充実させるほど、管理する担当者の業務負担が大きくなる可能性があります。たとえば、従業員向けの住居として社宅を運用する場合、自社ですべてを管理しようとすると、契約書類の作成・チェック・保管のほか、家賃・初期費用の送金など多くの業務が発生します。

管理業務の負担を抑えるために、社宅代行会社にサポートを依頼するなど、デメリットを軽減できる対策を検討すると良いでしょう。

3. 全従業員のニーズを満たすのは難しい

それぞれの従業員が福利厚生に関する要望を持っているため、すべての従業員のニーズを満たせる福利厚生を整備することは難しいでしょう。特定の従業員が要望している福利厚生が、ほかの大多数の従業員にとっては不要なケースもあります。不満を抑えるためにも、導入する福利厚生は全従業員の要望のバランスを見ながら検討するのがおすすめです。

4. 一度導入すると廃止しづらい

一部の従業員にしか利用されていないような福利厚生であっても、一度導入したものを廃止するのは難しいものです。もしも無理に福利厚生を廃止すると、従業員が企業に不満や不信感を抱いてしまうだけでなく、労働条件の「不利益変更」に当てはまる場合があります。

このことを踏まえ、新たに福利厚生を導入する際は、従業員の利用率や企業の負担率を考慮しながら慎重に選定しましょう。

デメリットを最小限にするためのポイント

デメリットを最小限にするためのポイント

福利厚生の導入で生じるデメリットを最小限にするには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 福利厚生を導入する目的を明確にする
  • 不公平な福利厚生にならないよう注意する
  • 定期的に制度の見直しを行う

それでは、デメリットを最小限にするポイントを詳しく見ていきましょう。

福利厚生を導入する目的を明確にする

目的を決めずに福利厚生を導入しても、従業員のニーズを汲んだ制度運用ができず、余計な費用や作業が発生するおそれがあります。そのため、「従業員の住居に関する不満解消に向けて社宅制度を採用する」など、福利厚生を導入する目的を明確にすることが必要です。

前述のとおり、福利厚生は従業員満足度の向上や業務生産性の促進などを図るためにも有効なので、福利厚生にかかる費用を必要経費として捉えて、有意義な取り組みとなるようにしましょう。

不公平な福利厚生にならないよう注意する

公平性を欠いた福利厚生制度では、従業員の満足度が下がるばかりか信頼を損なうリスクもあるため、ニーズの把握や利用条件の設定はしっかりと行いましょう。前述したように、一度導入した福利厚生は廃止しにくいため、従業員にとって有用性の高い制度づくりを心がける必要があります。

定期的に制度の見直しを行う

より多くの従業員のニーズを満たすためにも、福利厚生を導入した後にはアンケートなどを実施し、定期的に見直すことが大切です。従業員の意見を取り入れた制度へブラッシュアップすることで、満足度の高い福利厚生へ改善できるだけでなく、就活生や求職者のニーズを押さえた制度としての拡充も期待できるでしょう。

福利厚生のメリットを最大限に活用するなら

福利厚生のメリットを最大限に活用するなら

福利厚生を充実させることには大きなメリットがある一方、デメリットが存在することも事実です。そのため、「導入・運用費用がかかる」「管理業務の負担が大きい」といったデメリットの要素を把握したうえで、福利厚生を充実できるように取り組むことをおすすめします。

たとえば、社宅の管理業務の負担が大きいというデメリットを最小化させたい場合は、リーズナブルに運用・管理を一任できる社宅代行サービスなどを活用すると良いでしょう。LIXILリアルティの社宅代行サービスでは、原状回復費用の適正化や社宅付随業務のコスト削減などを図り、業務負担の8割程度の削減が見込めます。

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まとめ

福利厚生を充実させることで、採用力の強化や従業員満足度の向上など、さまざまなメリットが見込まれます。ただし、一定のデメリットも生じるため、福利厚生を導入する目的を明確化したり、定期的な制度の見直しを図ったりすることが重要です。

特に、社宅制度など担当者の業務負担が大きくなりがちな福利厚生に関しては、社宅代行サービスなどを活用することで業務負担の軽減やコスト削減も期待できます。プロフェッショナルの適切なサポートを受けつつ、自社の福利厚生の充実を目指しましょう。

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