福利厚生の最低ラインと導入するとよい法定外福利厚生とは

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福利厚生の最低ラインと導入すると
よい法定外福利厚生とは

はじめに

自社の福利厚生を見直すうえで、その最低ラインについて把握しておきたい人事・総務担当の方も多いのではないでしょうか。法定福利厚生の導入は法律で義務付けられているものの、法定外福利厚生の導入は各企業の裁量に任されているため、要・不要を見極めることが大切です。

本記事では、福利厚生の最低ラインを詳しく解説したうえで、福利厚生を導入するメリット、導入しないことで生じる可能性があるデメリット、最低限導入するとよい法定外福利厚生などを紹介します。さらに、福利厚生導入の検討ポイントや、人気の福利厚生も解説するので、ぜひ自社の福利厚生を見直す際の参考としてお役立てください。

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福利厚生の最低ライン

福利厚生の目的と重要性

まずは、福利厚生の最低ラインを知るために、福利厚生の概要や整備すべき福利厚生について解説します。「福利厚生がない企業はあるのか」「福利厚生が必要ないケースはあるのか」などの疑問点にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。

福利厚生とは

そもそも福利厚生とは、給与とは別に、企業が従業員本人及びその家族へ提供するサービスのことです。福利厚生を充実させる目的は、企業イメージの向上や、採用活動・離職防止の促進にあります。

特に近年は、労働力の減少が叫ばれているため、魅力的な職場環境であることをアピールするためにも、企業は福利厚生を精査することが重要となっています。

なお、福利厚生の種類は、労働法規によって導入が義務付けられている「法定福利厚生」と、企業が任意で導入する「法定外福利厚生」の2つに分かれます。

整備すべき福利厚生とは

企業が最低限導入すべき福利厚生は、法律で義務付けられている法定福利厚生です。一方、法定外福利厚生は各企業が任意に設定するもので導入義務はありません。しかし、従業員のモチベーションアップなどの観点から考えると、導入を検討するとよいでしょう。

法定福利厚生の種類は、以下の6つです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

万一、法定福利厚生を企業が設置していないと法律違反となり、行政指導や罰則を受けるおそれがあるので、しっかりとチェックしておきましょう。

健康保険

健康保険とは、従業員が病気やケガをした際に、国が医療費の一部を負担する公的な保険です。企業の所在地や従業員の年収に応じて、毎月の給与から保険料が差し引かれます。企業はそのうち50%の保険料を負担する必要があります。

厚生年金保険

厚生年金保険とは、公的年金制度の一つで、従業員と雇用主が年金保険料を折半するという保険制度です。従業員は、65歳以上になったタイミングで年金を受け取れます。(2024年5月現在)

基礎年金である国民年金に上乗せされた2階建て構造であることも特徴です。国民年金は日本在住の20歳以上60歳未満の人がすべて加入対象で、厚生年金は厚生年金保険の適用事業所で働く70歳未満の従業員が加入対象となっています。

介護保険

介護保険とは、介護を必要とする「要介護状態」、あるいは日常生活等で支援が必要な「要支援状態」になった場合に、費用の一部を負担してくれる保険制度です。従業員が40歳になった段階で被保険者となり、企業は介護保険料の半分を負担する必要があります。

雇用保険

雇用保険とは、従業員が失業した際に給付を行い、労働者の生活・雇用の安定などを図ることを目的とした保険制度です。退職した従業員はハローワークで求職申込、離職票の提出を行うことで、失業給付金を受給できます。

従業員を雇用している企業は、業種や規模を問わず雇用保険の加入手続きが義務付けられているので留意しておきましょう。

労災保険

労災保険とは、業務や通勤が原因で従業員が負傷したり、病気にかかったりした際に、必要な保険給付を行う制度です。災害の種類は、以下の2つに分かれます。

  • 業務災害:業務が原因で従業員が被った負傷、疾病、障害または死亡
  • 通勤災害:通勤が原因で従業員が被った負傷、疾病、障害または死亡

給付の種類は従業員が被った災害によって変わり、「療養(補償)給付」「休業(補償)給付」「遺族(補償)給付」などがあります。なお、労災保険料は企業が全額負担することが一般的です。

子ども・子育て拠出金

子ども・子育て拠出金とは、政府の子育て支援、児童手当にかかる費用の一部を負担するための制度です。厚生年金保険の適用事業所はすべて徴収対象となっており、厚生年金保険料と合わせて企業が全額負担することになります。

厚生年金に加入する従業員はすべて対象となるため、子どもの有無や既婚・未婚は問われません。子ども・子育て拠出金の金額は、従業員の標準報酬月額と子ども・子育て拠出金率によって決まります。

福利厚生がない会社はあるのか

前述のとおり、法定福利厚生は法律で義務付けられているため必須の制度です。一方で、企業の任意である法定外福利厚生を設定していないケースを「福利厚生がない企業」と呼ぶこともあります。

また、従業員を雇用していない企業や、役員のみで構成されている企業の場合は、労働基準法の対象から外れるため、福利厚生がない状態でも問題ないでしょう。ただし、無償ボランティアや職業訓練生を事業に加えている企業では、民間の保険に加入して万一の事故などに備えておくことが一般的です。

福利厚生が必要ないケースはあるのか

企業が従業員を雇用している場合、法定福利厚生は最低限必要となります。また、福利厚生は原則すべての従業員を対象とするものであり、従業員の雇用形態や労働条件によって差をつけてはなりません。

そのため、正社員はもちろん、契約社員やアルバイト、パートタイマーといった雇用形態の従業員でも分け隔てのない福利厚生を用意する必要があります。

福利厚生を導入するメリット

福利厚生を導入するメリット

福利厚生を導入するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 従業員の満足度が向上する
  • 採用活動のアピールポイントになる
  • 節税効果になる

いずれも企業が安定的な経営を続けるために重要なメリットです。詳しく見ていきましょう。

従業員の満足度が向上する

福利厚生を導入することで、企業に対する従業員の満足度が上がるメリットがあります。例えば、交通費や休暇制度が充実している企業の場合、従業員一人ひとりが高い労働意欲を示したり、業務に対するモチベーションがアップしたりする効果が期待できます。

業務効率化を達成することで、プライベートの時間も確保しやすくなり、ワークライフバランスのとれた働き方を実現しやすくなるでしょう。

採用活動のアピールポイントになる

福利厚生は、近年の求職者の企業選びのポイントとしても重要な要素となっています。そのため、福利厚生が充実している企業は、他の企業に比べて好印象を持たれやすく、採用活動においても強力なアピールポイントになり得るでしょう。

また、従業員への福利厚生は、対外的な企業イメージの向上にも役立ちます。新規事業を展開する際の連携を取りやすくなったり、地域からの協力を得られやすくなったりするメリットが見込まれるでしょう。

節税効果になる

一定の条件を満たすことで、福利厚生のために使用した費用は経費として計上できます。経費計上額が多いほど課税所得の圧縮が可能となるため、法人税を抑える効果が期待できます。

社宅制度は住宅手当とは異なり、企業だけでなく従業員の税負担も増やさずに住宅のサポートが可能です。社宅制度のメリットについては以下の記事で詳しくご覧ください。
>>借り上げ社宅とは?メリット・デメリットをふまえた導入の流れと注意点

福利厚生を導入しないデメリット

福利厚生を導入しないデメリット

福利厚生を導入しないことで、どのようなデメリットが生じるのでしょうか?

以下で詳しく確認していきましょう。

従業員のモチベーションが下がる

福利厚生がない状態では、従業員の企業への満足度・信頼感が下がるとともに、業務へのモチベーションもダウンする可能性があります。企業への帰属意識が薄れてしまうため、離職につながるおそれもあります。

また、業務へのモチベーションが下がることで労働生産性が低下してしまい、従業員の心身の健康に悪影響を及ぼすケースも想定されるでしょう。

人材確保が難しくなる

どの業界でも人材不足と言われているなか、求職者は福利厚生も条件に含めて企業を選ぶ傾向にあります。そのため、福利厚生を導入していないばかりに、人材確保が難航しやすくなることは大きなデメリットでしょう。

他社に優秀な人材を取られないようにするためにも、自社の魅力を打ち出せるような福利厚生へと整備する必要があります。

最低限導入するとよい法定外福利厚生

最低限導入するとよい法定外福利厚生

最低限導入するとよい法定外福利厚生として、以下の4つが挙げられます。

  • 特別休暇
  • 交通費(通勤手当)
  • 人間ドッグ・健康診断の補助
  • 住宅関連補助

それぞれの法定外福利厚生の特徴を詳しく見ていきましょう。

特別休暇

有給休暇や産前産後休暇など法定福利厚生で定められた休暇のほかに、慶弔休暇やリフレッシュ休暇といった特別休暇を法定外福利厚生として採用している企業があります。昨今はユニークな休暇として、二日酔い休暇制度や、プロポーズ休暇を採用している企業も出てきました。

このような特別休暇を用意しておけば、従業員が心身ともにリフレッシュできる機会となるため、自社の労働生産性をアップさせられるメリットがあります。

交通費(通勤手当)

交通費とは、通勤や営業業務で必要な電車賃やバス代、あるいは自動車のガソリン代、駐車場代などを支給することを指します。交通費の支給は法律で義務付けられておらず、法定外福利厚生の扱いです。

なお、交通費は福利厚生費とみなされる上限額が設定されています。公共交通機関の利用者の上限額は1か月あたり15万円で、車や自転車の利用者は距離に応じて上限額が変化します。

人間ドッグ・健康診断の補助

従業員に一般健康診断を受診させることは、企業の義務です。それに加え、一般健康診断の法定項目以外の検査として、人間ドックや婦人科項目を従業員が受診する際、企業が費用を補助・負担する福利厚生は不可欠と言えます。

これらの福利厚生を充実させて法定外健康診断の受診を促すことで、一般健康診断では発見できないような病気の早期発見につながる可能性もあります。

住宅関連補助

社宅・寮の提供や、住宅手当、住宅ローン補助など、住宅関連の福利厚生も、最低限導入しておくべき法定外福利厚生と言えます。特に、給与が少ない傾向がある若手の従業員を積極的に採用したい場合は、住宅関連補助を充実させることで企業の魅力がアップするでしょう。

住宅関連の福利厚生を充実させるなら、住宅手当よりも従業員の負担を抑えられる社宅制度がおすすめです。社宅と住宅手当の違いやメリットについては、以下の記事で詳しく説明しています。
>>借り上げ社宅と住宅手当、企業が導入するならどちらがお得?

福利厚生導入の3つの検討ポイント

福利厚生導入の3つの検討ポイント

実際に福利厚生を導入する際は、以下3つのポイントを押さえておくことが大切です。

  • 従業員のニーズがある
  • すべての従業員が利用できる
  • 継続可能なコストである

3つの検討ポイントについて、詳しく見ていきましょう。

従業員のニーズがある

従業員からのニーズが少ない福利厚生を導入しても、十分に活用してもらえない可能性があります。そのため、福利厚生を導入する前に、従業員が必要な福利厚生についてアンケートを実施して、ニーズが見込まれるものを導入するようにしましょう。

すべての従業員が利用できる

福利厚生は一部の従業員だけが利用できるものではなく、雇用形態等にかかわらず全従業員が平等に利用できるものを導入しましょう。2020年4月に改正パートタイム・有期雇用労働法が施行されたことで、正社員の福利厚生と、契約社員やパート、アルバイトといった従業員の福利厚生は、基本的に同一にすることが義務付けられています。

継続可能なコストである

たとえ従業員からのニーズが高い福利厚生であっても、継続して運用できなければ意味がありません。そのため、導入コストや運用コストを考慮し、継続可能な福利厚生であることを確認したうえで導入することが大切です。

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どんな福利厚生が人気なのか

どんな福利厚生が人気なのか

ここからは、株式会社ビズヒッツが2021年10月に取ったアンケート調査の結果、「あったら嬉しい人気の福利厚生ランキング」を参考に、以下3つの上位の福利厚生を紹介します。

  • 家賃補助・住宅手当
  • 特別休暇
  • 旅行・レジャーの優待

それではさっそく、1位から3位の福利厚生をチェックしていきましょう。

出典:株式会社ビズヒッツ「あったら嬉しい人気の福利厚生ランキング!働く男女501人アンケート調査結果から徹底解説」

1位 家賃補助・住宅手当

家賃補助・住宅手当とは、従業員が支払っている家賃の一部を企業が負担する福利厚生のことです。人気がある背景として、従業員の手取り収入が増えることや、賃貸物件の選択肢が広がることが挙げられます。

企業にとっても、従業員の満足度の向上や、求職者へのアピールといったメリットが見込まれるでしょう。

2位 特別休暇

特別休暇とは、法定外休暇として企業が独自に定める休暇制度のことです。人気の背景として、特別休暇があれば、誕生日や結婚記念日といったプライベートの用事でも休みやすくなることが挙げられます。

特別休暇を充実させることで、従業員がワークライフバランスのとれた働き方を実現しやすくなるなど、企業側のメリットもあります。

3位 旅行・レジャーの優待

旅行・レジャーの優待とは、ホテルやレジャー施設を割引価格で利用できる福利厚生のことです。この福利厚生が人気の理由として、家族・友人と気軽に旅行ができることや、レジャー施設をお得に楽しめることが挙げられます。

従業員が充実したプライベートの時間を過ごせるようになるため、企業への帰属意識が高まるといったメリットも期待できるでしょう。

人気の福利厚生については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
>>担当者必見、従業員に人気の”あると嬉しい”福利厚生制度とは?

住宅関連の福利厚生の導入をご検討中なら

住宅関連の福利厚生の導入をご検討中なら

従業員に人気のある、住宅関連の福利厚生を導入したいという場合は、社宅制度がおすすめです。社宅制度は、従業員の経済的負担を抑えられることからニーズが高い福利厚生です。企業側にとっても、人材流出の防止や、採用活動におけるアピールポイントになるといったメリットが期待できます。

企業の社宅運用に際して、LIXILリアルティでは蓄積されたノウハウをもとに、柔軟にサポートいたします。当社の社宅代行サービスなら、企業ニーズに合わせてカスタマイズ対応を行ったり、複数の社宅代行プランをご提案したりすることが可能です。

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まとめ

福利厚生を導入することで、「従業員の満足度が向上する」「採用活動のアピールポイントになる」といったメリットが見込まれます。法定外福利厚生の最低ラインとして、住宅関連補助や特別休暇、交通費などを導入するとよいでしょう。

社宅制度は、従業員の満足度を高め、安定的な人材確保にもつなげられる福利厚生です。社宅代行サービスを利用すれば、社宅制度のスムーズな導入を実現できるうえ、自社の負担やコストも抑えられるでしょう。

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