社宅で海外家主(非居住者)の物件を法人契約する前の注意点とは

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社宅で海外家主(非居住者)の物件を
法人契約する前の注意点とは

はじめに

借り上げ社宅を管理するなかで、海外家主が所有する物件を契約することになった場合、「国内家主の場合と手続きがどう違うのかわからない」「そもそも海外家主の物件を借り上げ社宅で許可していいのかどうか」など、担当者だけでは判断が難しいケースも多いと思います。

本記事では、借り上げ社宅として海外家主が所有する物件を法人契約する際に知っておくべきポイントや、注意点をまとめました。借り上げ社宅の管理業務でお悩みの方は、ぜひご覧ください。

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海外家主(海外オーナー)の定義

海外家主(海外オーナー)の定義

海外家主とは、海外在住のオーナーのことです。海外家主によって提供されている物件では、一般的な物件と対応が異なるシーンがあるため、どのようなケースが海外家主に該当するのか把握しておくことが大切です。

まず居住者、非居住者の違い、そしてどのような対応が必要なのかを詳しく見ていきます。

居住者とは

居住者とは、日本に住所を有している、または1年以上にわたって日本に居所がある人のことです。住所とは生活の本拠とされる場所で、居所とは生活の本拠ではなく、現実に居住している場所という違いがあります。例えば、日本人で常に日本に住んでいる人や海外から日本に来て1年以上住んでいる人などが居住者です。

非居住者とは

非居住者とは、日本に住所がなく、かつ1年以上日本に居所がない人のことです。日本に住んでいない外国人、海外転勤で1年以上日本に居所がない人などが非居住者ということです。

貸主が非居住者の場合には借主が対応するべきことがある

貸主が日本に住んでいない海外オーナーや海外転勤で1年以上日本に住んでいない人である物件の場合、借主が源泉税を納めなくてはなりません。詳しくは次の見出しで説明します。

借主が海外家主(非居住者)の税を源泉徴収して納める

借主が海外家主(非居住者)の税を源泉徴収して納める

貸主が非居住者の場合、居住者の場合と比べて具体的にどんな違いがあるのでしょうか。違いを詳しく解説していきます。

海外居住でも日本国内にある不動産の所得には納税義務が発生する

物件のオーナーが非居住者の場合、物件から得られる賃料収入に対して海外の税制が適用されると考える方も多いのではないでしょうか。しかし、海外居住であっても、日本国内において生じた所得(国内源泉所得)は課税対象となります。

なぜ借主が源泉徴収を行うのか

国税庁によると、非居住者や外国法人から日本国内にある不動産を借り受け日本国内で賃借料を支払う者は、法人はもちろん個人でも、その支払いの際に20.42%の税率により計算した額の所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなくてはなりません。
参照:国税庁「No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき

しかし、非居住者が受け取った賃料から税金を納めるのは不便です。そのため、貸主が非居住者の場合には、借主が支払う賃料から20.42%の源泉税を税務署に納付し、残りの79.58%を貸主に支払います。

どのようなケースで借主が源泉徴収を行う必要があるのか

貸主が海外居住であれば、原則借主による源泉徴収が必要になりますが、すべてのケースにおいて必須というわけではありません。借主が個人、法人どちらなのか、個人の場合はさらに用途によって源泉徴収の有無が異なります。

借主が個人の場合

借主が個人の場合、賃貸の用途により源泉徴収の有無が異なります。例えば、賃貸の用途が自己または親族の居住用である場合、賃料を支払う際の源泉徴収は必要ありません。

しかし、個人であっても、自己または親族の居住用以外、つまり事業用として貸している場合は、源泉徴収が必要です。また、事務所兼住所といったように半々で利用している場合、事務所として利用している範囲のみ源泉徴収の対象となります。

借主が法人の場合

借主が法人の場合、個人のように用途によって源泉徴収の有無は変化しません。用途に関係なく源泉徴収が必要となります。

個人と法人の違いを表にまとめると以下の通りです。

借主 個人 個人 法人
用途 借主本人および親族の居住用 借主本人および親族の居住用以外 用途に関係ない
源泉徴収 不要 必要 必要

借主が源泉税を納付する方法

借主が源泉税を納付する方法

貸主が非居住者で借主が源泉税の納付対象である場合、納税によるトラブルを回避するためにも、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • 納付先
  • 納付方法
  • 納付書
  • 納付期限

それぞれのポイントを詳しく説明していきます。

納付先

源泉税の納付先は借主の所轄の税務署となります。

納付方法

源泉税の納付は税務署指定の納付書を用いて、所轄の税務署や銀行などの金融機関で行います。税金の中にはコンビニで納付できるものもありますが、源泉税は対象ではありません。

納付書

納付の際に使用する納付書は、「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」です。この書類は、税務署から直接もらう、もしくは税務署に郵送を依頼して入手することができます。

所得税徴収高計算書の様式について詳しく知りたい方は、以下の国税庁のサイトをご覧ください。
参照:国税庁「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書の様式

納付期限

非居住者がオーナーである物件の借主は、支払った翌月の10日までに納税を行わなくてはなりません。

納付が遅れてしまった場合や納付を忘れていた場合は、借主に延滞税といったペナルティが課され、税負担が大きくなる可能性があるので注意してください。

借主が源泉徴収をしなくてよいケース

借主が源泉徴収をしなくてよいケース

貸主が非居住者で借主が一定条件に該当する場合は、基本的に源泉徴収が必要です。しかし、以下の条件に該当している場合は源泉徴収をしなくてよいケースです。

  • 家主が源泉徴収免除証明書の交付を受けている場合
  • 家主が非居住者でもサブリース契約である場合

それぞれのケースについて詳しく見ていきます。

家主が源泉徴収免除証明書の交付を受けている場合

非居住者である家主が所轄の税務署に申請し、源泉徴収免除証明書を交付されているケースでは、その効力が続いている間は源泉徴収が免除されます。

借主はその効力が切れたタイミングで源泉徴収が必要になります。源泉徴収免除証明書の交付を受けていても、永久的に源泉徴収が不要というわけではないので注意してください。

家主が非居住者でもサブリース契約である場合

家主が海外に居住している非居住者の中には、サブリース契約を締結している方もいます。サブリース契約は貸主とサブリース会社が契約を締結し、サブリース会社が入居者を募集する契約形態です。

サブリース契約の場合は、貸主から一括で借りて又貸し(マスターリース契約)するサブリース会社が借主の代わりに源泉徴収するため、源泉徴収が必要ありません。

社宅で海外家主に関して知っておくべき3つの注意点

社宅で海外家主に関して知っておくべき3つの注意点

社宅を提供する際は以下の3つの点に注意が必要です。

  1. 物件の貸主が海外家主(非居住者)でないか確認する
  2. 海外家主の物件の契約が可能かを社宅管理規定に記載しておく
  3. 非居住者への支払いに関する支払調書の作成が必要になる

それぞれの注意点を詳しく解説していきます。

1. 物件の貸主が海外家主(非居住者)でないか確認する

居住者が提供する物件とは違い、非居住者が提供する物件の場合は源泉徴収が必要になる可能性があるため、借り上げ社宅の契約準備に入る前に、まずは物件オーナーが非居住者かどうか確認することが大切です。

源泉徴収の手間がかかることを理由に、オーナーが非居住者である物件を社宅には避ける法人もありますが、すでに契約中の物件でオーナーが変わったり、海外に転居するなどして非居住者が貸主になる可能性もあるため注意が必要です。

2. 海外家主の物件の契約が可能かを社宅管理規定に記載しておく

従業員が借り上げ社宅の物件を選ぶ際、選択肢として海外家主の物件を含めていいのかどうか明確にしておく必要があります。

従業員に周知させるほか、トラブルを回避するためにも社宅管理規定にルールとして明示しておきましょう。

3. 非居住者への支払いに関する支払調書の作成が必要になる

海外家主の物件を社宅として提供する場合、非居住者への支払いに関する支払調書の作成が必要です。

「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書」「非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書合計表」の形式にて書類の提出が求められます。

支払調書については、以下の記事でも詳しく解説しています。
>>支払調書に不安のある社宅担当者必見!支払調書入門書

社宅で海外家主との賃貸契約を検討しているなら

社宅で海外家主との賃貸契約を検討しているなら

借り上げ社宅を提供する場合、企業は以下のような業務を行わなくてはなりません。

  • 社宅管理規定の作成
  • 物件の手配
  • 新規契約時の手続き
  • 賃料や共益費などの支払業務
  • 更新の手続き
  • 解約時の手続き
  • 帳票作成
  • トラブル対応

借り上げ社宅を提供する企業は、社宅利用についてのルールをまとめた社宅管理規定の作成や、社宅の利用を希望する従業員の入退去手続や支払業務などを行わなくてはなりません。これらの業務を従業員が担う場合、担当業務が増えて負担になります。

特に海外家主の物件を社宅として提供する場合は、源泉徴収の手間が増えることで、担当部署の負担がさらに大きくなる点に注意が必要です。

そこでおすすめするのが、社宅代行サービスです。社宅代行サービスを利用すると、上記の業務のほとんどを代行してくれます。そのため、借り上げ社宅導入に伴う管理担当者の負担軽減、トラブル回避が期待できるでしょう。

LIXILリアルティの社宅代行サービスでは、家賃送金や帳簿処理といった月次業務のほか、支払調書の準備や提出といった年次業務、社宅規定や運用マニュアル作成のサポートを行っています。社宅業務の一元化による社宅業務の80%削減を実現、高品質で豊富なサービスをリーズナブルに提供しているため、社宅業務のコストダウンを図れます。

全国700社、2,500店舗を超えるネットワークを有しており、不動産会社の業界の垣根を超えたマルチブランドネットワークで、豊富な物件の中から選択できる点も大きなメリットです。

借り上げ社宅の導入にあたって社宅代行サービスの利用を検討している方は、LIXILリアルティにお気軽にご相談ください。
>>社宅管理について相談してみる

まとめ

福利厚生の一環として借り上げ社宅を提供することで、従業員は住居費の負担や税負担を軽減でき、企業は従業員の満足度が高まることで離職の回避や雇用促進、税負担の軽減などのメリットを受けられます。

しかし、日本に住所を有していない、1年以上居所のない非居住者の物件を社宅として提供する場合、源泉徴収の対象となり、借主には賃料の一部を納税する手間がかかります。

誤った認識で社宅を運用してしまうと、後でトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。トラブルを回避し、従業員の負担を軽減したい方は、社宅代行サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

監修者

税理士・公認会計士

中川崇(なかがわたかし)

田園調布坂上事務所代表。広島県出身。大学院博士前期課程修了後、ソフトウェア開発会社入社。退職後、公認会計士試験を受験して2006年合格。2010年公認会計士登録、2016年税理士登録。監査法人2社、金融機関などを経て2018年4月大田区に会計事務所である田園調布坂上事務所を設立。現在、クラウド会計に強みを持つ会計事務所として、ITを駆使した会計を武器に、東京都内を中心に活動を行っている。

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