はじめに
社宅業務の担当者の中には、まだ支払調書関連の業務に慣れておらず、詳細をインターネットで検索しながら対応しているという方も多いのではないでしょうか?
年に1度の支払調書の作成と一口に言っても、最も負担の大きい社宅業務と言われているため、手間と負担を軽減したいと考えている方も多いと思います。
この記事では、支払調書関連の業務に慣れていない担当者に向けて支払調書とは何なのか、支払調書の提出が必要な条件や対象期間、提出期限などを解説します。支払調書の作成に不安を抱えている方は是非参考にしてください。
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社宅管理業務に必要な「支払調書」とは
支払調書とは、法定調書の1つで、年に1回税務署が納税者の正確な支払を把握するために必要な書類です。提出しなかった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に科される可能性があることから、提出義務は無視できません。
支払調書には、1月1日から12月31日までの1年間に支払った賃料の金額やその他の情報を記入します。原則1月31日までに法人の所在地を管轄する税務署に提出しなくてはならないため、社宅業務の担当者にとっては負担の大きな業務と言えます。
社宅管理業務関わる支払調書の種類
法定調書は60種類以上ありますが、社宅管理業務に関わる支払調書は主に以下の3種類です。
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産等の売買または貸し付けのあっせん手数料の支払調書
- 非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書
それぞれの支払調書がどのようなものなのかを詳しく見ていきましょう。
不動産の使用料等の支払調書
不動産の使用料等の支払調書とは、事務所の家賃や権利金、更新料、礼金、一時的な地代といった不動産等の使用料を支払った場合に必要となる支払調書です。法人または不動産業者である個人が提出義務の対象です。
しかし、法人に支払う権利金や更新料などについては支払調書を提出しますが、家賃のみ支払っている場合は提出する必要はありません。敷金や保証金は返還が原則なので提出は不要ですが、返還されないということが確定した場合は提出義務が生じるので注意が必要です。
不動産の使用料等の支払調書を作成する際は以下のような事項を記載します。
- 不動産の区分(家屋、事務所等)
- 所在地
- 細目(家賃等)
- 計算方法
- 支払金額とあっせん
- 仲介者情報
- 使用料の支払者および受ける者の住所と氏名
不動産等の売買または貸し付けのあっせん手数料の支払調書
不動産等の売買または貸し付けのあっせん手数料の支払調書とは、同一の者に対して1年間で15万円を超えるあっせん手数料(不動産等の売買や貸し付けに関連するもの)を支払った場合に提出する支払調書です。
この支払調書は必ず提出しなければならないというわけではありません。不動産の使用料等の支払調書または不動産等の譲り受けの対価の支払調書の「あっせんをした者」という欄に必要事項が記載されている場合には提出不要です。
不動産等の売買または貸し付けのあっせん手数料の支払調書を作成する際は以下のような事項を記載します。
- 区分
- 支払確定年月日
- 支払金額
- 物件の種類と所在地
- 物件の数量と取引金額
- 支払者および受ける者の住所と氏名
非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書
非居住者等に支払われる不動産の使用料等の支払調書とは、住所地が海外である個人、本店や主たる事務所の所在地が海外である法人が賃貸人(支払先)の場合に提出する支払調書です。
日本に住所を有する個人や事務所を構える法人は不動産の使用料の支払調書を提出しますが、上記の場合にはこちらの支払調書を提出する必要があるという点に注意しましょう。
社宅管理業務で支払調書の提出が必要になる条件?
不動産の使用料等の支払調書の提出が求められるのは、家賃や権利金、更新料、礼金、一時的な地代といった不動産等の使用料を支払う法人と不動産業者である個人に限られています。
しかし、建物の賃貸借の代理や仲介が主な目的の不動産業者である個人には、提出義務がありません。また、賃貸人が法人の場合、家賃のみの支払いでは提出が不要です。提出が必要になる主な条件は以下の2つです。
- 賃貸人(個人)に支払う賃料・更新料・権利金等の支払総額が1年間で15万円以上
- 賃貸人(法人)に支払う更新料・権利金等の支払総額が1年間で15万円以上
支払調書の対象期間と提出期日
支払調書の対象期間は「1月1日から12月31日まで」です。
1年間に支払った賃料の金額やその他の必要事項を支払調書に記入して、法人の所在地を管轄している税務署に「1月31日まで」に提出しなければなりません。対象期間の締めから提出期日までにあまり余裕がないため、期日を忘れないように注意しましょう。
支払調書最大の難所!「マイナンバー」取得
支払調書の最大の難所は、マイナンバーの取得と言われています。マイナンバーは必ず取得しなければならないのか、なぜ取得が最大の難所と言われているのかについて詳しく見ていきましょう。
支払調書には家主さんの「マイナンバー」が必要
家主さんのマイナンバーは必ず取得しなければならないわけではありません。貸主が個人、借主が法人というケースのみ家主さんのマイナンバーが必要になります。
通常の賃貸契約は個人間で行われるため、家主さんのマイナンバーが必要になることはありません。しかし、社宅は上記に該当し、法人が支払調書を作成する際は家主さんのマイナンバーを取得しなければならないので覚えておきましょう。
マイナンバーはそう簡単に教えてもらえない
支払調書を作成するにあたって家主さんのマイナンバーが必要なケースでは、マイナンバーが必要である旨を家主さんに伝えれば簡単に教えてもらえると思っている方もいると思います。しかし、実際にはそう簡単には教えてもらうことができません。
その理由は、家主さんの高齢化が進んでおり、「詐欺に使用されるのでは?」と不安に感じている家主さんが多いためです。いくら家主さんが若くても、個人情報の漏洩を心配して教えてもらえないケースもあります。これが支払調書の最大の難所と言われる理由です。
マイナンバーを教えてもらえない場合は…
家主さんはマイナンバーを提供しなくてもペナルティがないため、根気強く交渉を継続しても教えてもらえる可能性は低いと言えます。家主さんにマイナンバーを聞いても教えてもらえなかった場合、支払調書への記載が免除されると思った方も多いかもしれませんが、そういうわけではありません。
支払調書へのマイナンバーの記載は必須であるため、教えてもらえなかった場合は家主さんにマイナンバーの提供を求めたという証拠を残しておく必要があります。家主さんに手紙やメールでマイナンバーの提供を求めて、提供に応じない旨を返信してもらえれば十分です。社宅代行会社に相談すれば、企業に代わってこれらの手続きを行ってくれるため、社宅業務の担当者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
セキュリティ対策も大変
複数棟の借り上げ社宅を利用する場合は、物件の数だけ家主さんのマイナンバーを管理することになります。マイナンバーは個人情報としての役割を担うため、行政の手続きや社会保障、年金などの公的機関での利用、証券口座や金融口座の開設時にも必要とされます。
もし、マイナンバーが流出した場合、個人情報の漏洩だけでなく、資産に被害が及んで損害賠償を請求される可能性があるので注意が必要です。そのような事態を未然に防ぐには、社内のセキュリティ対策をしっかりと行う必要があります。
社内で扱うのは、家主さんのマイナンバーだけではありません。従業員のマイナンバーも取り扱っています。セキュリティ対策専門の部署を設けるのも選択肢の1つですが、業務効率が下がる、コストが増加するため、外部機関に任せるのも選択肢の1つと言えるでしょう。
家主のマイナンバー取得など、社宅業務には負担が大きいものも多くあります。LIXILリアルティの社宅代行サービスでは、それまでの業務を最大80%削減し、コストダウンも実現可能です。社宅についてお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。
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社宅代行サービスを利用して社宅管理業務を軽減しましょう
支払調書の作成は1年に1回の業務ですが、社宅業務担当者にとって最も負担が大きな業務です。支払調書の作成に手間と時間がかかった場合には、業務効率が低下して他の業務に支障が生じる可能性があるので注意が必要です。
社宅代行会社を利用すれば支払調書作成に必要なデータを整備し提供してくれるため、社宅担当者の業務負担も軽減させ業務効率を向上させることができます。また、セキュリティ対策が不十分で損害賠償を請求されるといったリスクも軽減できるでしょう。
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まとめ
支払調書の作成は年に1回とは言っても、日常の業務を行いながら並行して行うことになるため、社宅業務の担当者にとって大きな負担と言えます。担当者の負担が大きくなりすぎた場合、業務効率の低下によって他の業務に支障が生じる可能性があるので注意が必要です。
支払調書とは何なのか、対象期間や提出期限などをしっかり把握しておけば、支払調書の提出を求められてもスムーズに対応することが可能です。しかし、担当者の負担が大きいという点は変わりません。担当者の負担を軽減して業務効率を向上させたいと考えている企業は、社宅代行会社の利用を検討してみることをおすすめします。