はじめに
福利厚生の導入を検討している中小企業の人事・総務担当者の中には、どのような福利厚生が中小企業向きか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。福利厚生は、一度導入するとそう簡単には廃止できません。そのため、中小企業にはどのような福利厚生が最適かを最初に把握した上で導入することが大切です。
この記事では、中小企業に向いている福利厚生のほか、導入する上で重要なポイント、導入方法などを解説します。福利厚生の導入に悩む人事・総務部の方はぜひご参照ください。
中小企業も福利厚生を充実させることは重要
福利厚生は、規模の大きな会社が導入すべきものだと考えている方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。中小企業でも、以下のような理由から福利厚生を充実させることは重要といえます。
- 求職者は福利厚生を重視している
- 従業員満足度が上がる
求職者は福利厚生を重視している
少子高齢化の昨今では、労働人口が減少しており、従業員の確保が難しくなっています。そのため、従業員を確保するには、他の会社との差別化を図ることが大切です。
他の会社との差別化を図る方法の1つが、福利厚生を充実させることです。求職者の多くは、会社の知名度や労働条件などで選ぶ傾向があります。会社の知名度という点では、中小企業は大手企業に比べて不利といえるかもしれません。しかし、求職者は福利厚生も重視しています。住宅手当や家族手当などの福利厚生を充実させることによって中小企業でも注目を集められるので、従業員を確保しやすくなります。
従業員満足度が上がる
従業員の確保が困難になっている昨今は、従業員の離職を防ぐことも重要です。求職者と同様、大手企業への転職を希望する方も一定数いるため、離職を防ぐことは容易ではありません。
しかし、福利厚生を充実させることで、大手企業との差別化を図ることが可能です。その結果、すでに働いている従業員の満足度を高められるため、離職を防ぐ効果が期待できるでしょう。
中小企業に向いている福利厚生とは?
福利厚生を充実させることによって新規雇用の促進や離職率の低下が期待できますが、福利厚生であれば何を導入しても良いというわけではありません。効果的な福利厚生でなければ、無駄なコストが増えるだけなので、注意が必要です。
そのため、中小企業が福利厚生を選ぶ際には、コストパフォーマンスの良さや運用のしやすさだけでなく、求職者や従業員のニーズが高いものを選択することが大切です。そこで、株式会社ビズヒッツが行った「あったら嬉しい人気の福利厚生ランキング【働く男女501人アンケート調査】」の結果をもとに人気のある福利厚生を5つご紹介します。
1.住宅関連
多くの企業は家賃の高い都市部にあるため、通勤に便利な場所に住もうとすると家賃負担が重くのしかかります。そのため、家賃補助や社宅といった住宅関連の福利厚生は、固定費の負担を軽減できるという理由から根強い人気があります。
社宅は社有社宅と借り上げ社宅に大きく分かれますが、社有社宅のみのサポートだと転勤や既婚者への補助が不十分です。比較的柔軟に対応でき、経費削減の効果が期待できる借り上げ社宅を導入するほか、持ち家の従業員へのサポートも行えば、大手企業との差別化を図れるでしょう。
2.特別休暇
有給休暇は気兼ねしてなかなか消化しにくいですが、特別休暇は気兼ねなく消化できるという理由から根強い人気があります。特別休暇には、以下のようなものが挙げられます。
- アニバーサリー休暇
- バースデー休暇
- リフレッシュ休暇
企業にとって重要なのは、ワークライフバランスです。ワークライフバランスとは、仕事と生活の調和です。休暇をうまく利用して仕事とプライベートの両方を充実させることにより、相互に良い効果が期待できるでしょう。
3.旅行・レジャー関連
質の良い休暇を過ごせるという理由から、旅行・レジャー関連の補助も人気があります。例えば、チケットが高額で利用しにくいテーマパークの割引チケット、旅行やレジャーの補助があると、休暇の質が高まります。
特別休暇と同様、仕事とプライベートの両方が充実することによって、従業員が仕事を頑張ろうと思えるほか、会社への帰属意識の向上につながるでしょう。
4.食事関連
住宅関連の福利厚生は、固定費の負担を軽減できるので人気があります。それと同様に、昼食にかかる費用を補助する食事関連の福利厚生も人気です。食事関連の福利厚生には、社員食堂や昼食手当などがあります。
食事関連の福利厚生は、栄養バランスを考えた食事を摂取することで、従業員の健康増進にもつながります。従業員の満足度が高まるだけでなく、健康上の理由で離職するリスクを抑えられるでしょう。
5.スポーツジム・フィットネス利用補助
コロナ禍でテレワークを導入する企業が増えたこともあり、在宅で勤務する時間が長くなる従業員が増えました。そこで、健康増進のためにスポーツジムやフィットネスを利用する従業員も増えているため、会社がこうした施設の利用料を補助する福利厚生も人気が高まっています。
会社が利用料を補助することにより、固定費の負担軽減につながるため、従業員の満足度が高まります。また、利用していない従業員が福利厚生をきっかけに運動を開始すれば、従業員の健康増進につながるため、健康上の理由で離職するリスクを抑えられるでしょう。
福利厚生は、一度導入すると簡単には廃止できません。そのため、どのような福利厚生が人気なのか、ニーズの変化も踏まえながら導入する福利厚生を検討しましょう。
参照:Biz Hits「あったら嬉しい人気の福利厚生ランキング【働く男女501人アンケート調査】」
中小企業が福利厚生を導入する上で重要なポイント
福利厚生の導入・運用には、費用がかかります。効果の期待できない福利厚生を導入しても費用がかかるだけで意味がないため、以下の5つのポイントを押さえた上で、福利厚生を導入することが大切です。
- 従業員が求めているものを導入する
- 導入シミュレーションをしておく
- 運用の工数を把握する
- 課税・非課税を区別する
- 定期的な見直しを行う
従業員が求めているものを導入する
従業員が求めていない福利厚生を導入しても、コストがかかるだけなので意味がありません。福利厚生の導入を効果的なものとするには、従業員が求めているものを導入することが大切です。
「中小企業に向いている福利厚生とは?」の見出しで触れたような、従業員からの人気がある福利厚生を導入しましょう。
導入シミュレーションをしておく
人気のある福利厚生が、自社に最適な福利厚生とは限りません。導入にかかる費用と従業員が求めている内容を照らし合わせることが重要です。
導入予定の福利厚生が従業員の求める内容か、導入シミュレーションでコストパフォーマンスを確認してから福利厚生を導入しましょう。
運用の工数を把握する
福利厚生導入の際に、運用の手間がかかりすぎて担当者の通常業務に支障をきたしては元も子もありません。運用にどのくらいのリソースがかかるのかも考慮してから導入することも大切です。
運用にかかる手間や費用を軽減するには、アウトソーシングを検討するのも選択肢の1つといえるでしょう。
課税・非課税を区別する
福利厚生は、課税のものと非課税のものに分かれます。例えば、住宅関連の福利厚生である住宅手当は、課税対象です。住宅手当として支給されるお金は、基本的に、給与に上乗せする形で支給されます。そのため、給与額が増えることにより、所得税や住民税の負担が増えるのです。
課税対象の福利厚生は、費用負担を軽減できる一方、多くの税金を納めることになります。課税・非課税による違いをしっかりと理解してから導入しましょう。
定期的な見直しを行う
福利厚生は、一度導入すればそれで完了というわけではありません。導入後も従業員の利用状況などを踏まえ、適宜見直す必要があります。
費用対効果を見極めつつ、定期的に見直しながら、自社に合う福利厚生に切り替え、改善していきましょう。
中小企業の福利厚生導入方法
福利厚生を導入する際には、以下のいずれかの方法を選択します。自社に合う導入方法を選択するためにも、両者の違いを理解しておきましょう。
- 自社で導入する方法
- 福利厚生代行サービスを利用する方法
自社で導入する方法
自社で福利厚生を導入する際は、以下の手順で導入します。
- 1.導入目的の明確化
- 2.導入目的に適した制度を検討
- 3.コスト算出・予算確保
- 4.制度の設計
- 5.社員への周知
- 6.運用開始
導入の手間と費用、リスクを軽減したい方は、次でご紹介する福利厚生代行サービスを利用する方法をおすすめします。
福利厚生代行サービスを利用する方法
福利厚生代行サービスとは、福利厚生の導入をサポートしてくれるサービスです。代行サービスを利用すれば、会社の業務は以下の2つに削減されます。
- 利用率の予測とコストの比較
- 時期に応じた繁閑の確認
代行サービスの内容は、企業ごとに異なります。そのため、各企業のサービスの違いを理解してから利用しましょう。
導入方法の詳しい内容は、こちらの記事で紹介しています。
福利厚生制度の種類や導入手順・サービス活用方法をわかりやすく紹介
福利厚生代行サービスを検討するうえでのポイント
福利厚生代行サービスの内容は、企業ごとに異なります。自社に合った代行サービスを利用するためにも、以下のポイントを押さえた上で導入することが大切です。
- サービス内容の充実
- 導入企業の数
- サポート体制
- コスト
サービス内容の充実
福利厚生の充実を図りたい企業は、ラインナップが豊富な代行サービスを選択することをおすすめします。一方で、特定の福利厚生の導入を予定しているのであれば、その福利厚生に特化したサービスを提供している代行サービスがおすすめです。
目的に応じた代行サービスを選択するほか、サービスが複数ある場合は、比較検討しましょう。
導入企業の数
対象サービスを導入している企業の数が多い場合、安心して利用できるサービスといえます。特に、自社と同じような中小企業も導入しているか確認すれば、自社の規模に合っているかどうかを見抜けます。
また、中小企業に特化した代行サービスであれば、中小企業ならではの課題改善も期待できるでしょう。
サポート体制
導入後のサポート体制が充実しているかどうかも重要です。福利厚生は一度導入すればそれで完了ではなく、定期的に見直す必要があります。
導入後のサポート体制が充実していれば、より自社の求めている福利厚生に近づけるので、各代行サービスのサポート体制を比較しましょう。
コスト
代行サービスの内容が充実しているほど、コストが高く設定されているのが一般的です。自社のニーズに合う代行サービスを選ぶだけでなく、コストを踏まえながら比較検討することも大切です。
福利厚生の内容が従業員のニーズに合っているか、持続可能かどうかも導入前のシミュレーションでしっかり確認しておきましょう。
借り上げ社宅の導入なら社宅代行サービスがおすすめ
福利厚生の中でも、住宅関連の福利厚生は固定費を削減できるという理由から人気です。そのため、住宅関連の福利厚生の導入を検討している方も多いことでしょう。
借り上げ社宅は住宅手当とは異なり、課税されないほか、所得税や住民税・社会保険料の負担なども軽減できるので、導入する企業も増えています。
しかし、社宅管理業務を自社で導入する場合、以下のように多くの業務を自社で担わなくてはなりません。
- 物件探し
- 入居、更新、退去手続き
- 家賃支払い
- 経理処理、支払調書の作成
- 入居中のトラブル対応
社宅代行サービスを利用すれば、上記の業務を外部に委託できるので、負担を軽減できます。また、住宅関連の福利厚生の導入に伴うリスクも軽減できるでしょう。
LIXILリアルティの社宅代行なら社宅業務の80%削減
LIXILリアルティで提供する社宅代行サービスには、以下のような特徴があります。
- 社宅業務の一元化
- 高品質で豊富なサービスをリーズナブルに提供
- 社宅業務のコストダウン・社宅業務の80%削減
- 全国700社、約2,500店舗の提携不動産ネットワークを構築
業界の垣根を越えたネットワークで物件情報を豊富に提供しているほか、ネットワークからの提供だけではなく、異動社員が自ら見つけた物件にも柔軟に対応しています。
借り上げ社宅の導入にあたり、社宅管理の負担を軽減したいと考えている社宅管理担当の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
少子高齢化によって労働人口が減少している昨今は、新規雇用の促進や離職率の低下を防ぐことが必要です。特に、中小企業は大手企業と比べると知名度という点で不利なので、福利厚生を充実させることで大手企業との差別化を図ることが求められます。
しかし、福利厚生であれば何でも良いというわけではありません。従業員のニーズやコストなどを踏まえつつ、自社に合った福利厚生を導入することが大切です。
住宅関連の福利厚生は、固定費の負担を軽減できるという点から人気です。しかし、住宅関連の福利厚生である借り上げ社宅は、制度の導入に手間と費用がかかります。手間と費用、導入によるリスクを軽減するためにも、社宅代行サービスを利用することをおすすめします。