はじめに
社宅担当者は従業員の社宅の契約や解約、入退去の管理だけでなく社宅で何らかのトラブルが起きた場合にも速やかに対応しなくてはなりません。 速やかにトラブルを解決へと導くためにも、どのようなトラブルが発生しやすいのか、回避方法や対策などを事前に把握しておくことが大切です。
この記事では、社宅でよく起きるトラブルと回避方法、トラブルの起きやすい物件、知っておきたいトラブル対策について解説します。すでに何かしらのトラブルが発生している、社宅導入を検討している担当者は是非参考にしてください。
社宅でよく起きる4つのトラブル
社宅担当者の役割は、社宅の手配や入退去の管理だけだと考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、社宅で発生したトラブルの対応も社宅担当者の役割なので、速やかにトラブルを解決するためにも、どのようなトラブルが起きやすいのか、回避方法を事前に把握しておくことが重要です。
社宅でよく起きるトラブルとして、以下の4つが挙げられます。
- 騒音のトラブル
- 隣人とのトラブル
- 設備に関するトラブル
- 退去時のトラブル
それぞれのトラブルと回避方法を詳しく説明していきます。
①騒音のトラブル
代表的な社宅のトラブルとして挙げられるのが騒音のトラブルです。
騒音のトラブルの原因として、話し声や子供の声(笑い声や泣き声)、掃除機をかける音、洗濯機の回る音、足音などが挙げられます。
他にも、社宅が大通りや高速道路、線路に面している場合は、通行人の話し声、車や電車の走行音が気になるケースが多いです。
しかし、上記のような声や音が原因で必ずトラブルに発展するというわけではありません。騒音に感じるかは人それぞれである上に、同じ音でも時間帯によってトラブルに発展しやすいかどうかが異なります。
これまでは夜間の騒音トラブルが一般的でしたが、昨今はテレワークで日中家にいる人も多くなっており、日中でも騒音のトラブルに発展するケースが増えているという点に注意してください。
騒音トラブル回避のポイント
社宅を決める際は、会社からのアクセスや利便性などを重視しがちですが、騒音トラブルを回避するためには十分な防音性能を備えているかどうかを重視することも大切です。
例えば、壁の厚みが十分かどうか、使用している床材の防音性能が高いかどうかなどを確認します。
また、過去の騒音トラブルの発生有無を確認しておけば、安心して従業員に提供できるでしょう。
②隣人とのトラブル
隣人とのトラブルは、社宅に限らず、マンションやアパートのような集合住宅や戸建て住宅などでも発生するトラブルです。
特に社宅で多いのは、社有社宅や借り上げ社宅の場合、社宅内に同じ会社の従業員たちが複数人暮らすことで必要以上に気を使い、精神的なストレスから疲弊するケースです。
単身赴任の場合は影響を受けるのが本人だけですが、家族で暮らしている場合には本人のみならず、妻同士が気を使うといったように、家族に影響がおよぶ可能性があることも理解しておく必要があります。
隣人トラブル回避のポイント
これから社宅を導入する企業の場合、できるだけ社員同士を同じ建物で暮らさないようにすれば、トラブルを回避できます。
また、すでに社宅を導入していて建物を分けることができないケースでは、相談窓口を作ってフォロー体制を構築するのも選択肢の1つです。社宅を提供して終わりではなく、アフターフォローを心がけることが大切です。
③設備に関するトラブル
提供している社宅で設備にトラブルが発生することも多いです。例えば、トイレのつまり、ガス漏れ、エアコンの故障、雨漏り、鍵の紛失などのトラブルが挙げられます。
社宅で多いのは、上記のようなトラブルに対して誰が修理・交換を手配するのか、誰が費用を負担するのかで揉めることです。速やかな対応ができず不満を抱いた社宅利用者の退去が増加した場合、社有社宅や借り上げ社宅が無駄になる可能性もあるので注意してください。
設備トラブル回避のポイント
設備トラブルを回避するためには、トラブル発生時のマニュアルを明確にしておくことが重要です。
例えば、トラブル発生時の連絡系統を明確にする、入居者にルールを周知させるとともに担当者は管理会社の連絡先をしっかり把握しておくなどです。
特にエアコンの使用頻度が多くなる夏場や冬場は故障が生じやすく、修理を依頼してもすぐには改善されないケースも珍しくありません。付属設備として設置されているエアコンの場合、故障した場合にどのように対応するのかを事前に管理会社に確認しておけば、設備トラブルを気にせず安心して過ごせるでしょう。
④退去時のトラブル
退去時のトラブルは大きく費用の問題と退去までの期間の問題に分けられます。
まず退去時の費用に関するトラブルは、原状回復費用を会社と従業員のどちらが負担するのかという問題です。日光があたって壁や床が色褪せたりする経年劣化や、ベッドを置いてできた凹みなどの通常損耗は貸主が負担しますが、これらを超える損耗は原状回復費用として賃借人が支払う必要があります。
しかし、この費用を会社と従業員のどちらが負担しなくてはならないという明確なルールはなく、トラブルに発展するケースが多いです。また、いつまでに退去しなくてはならないというルールが明確でなければ、円滑な入退去が困難になるという点にも注意してください。
退去時トラブル回避のポイント
原状回復費用については、あらかじめ従業員負担なのか、会社負担なのかを明確にしておく必要があります。
また、従業員負担のケースでも、一部負担なのか全額負担なのか、会社都合による退去なのか自己都合による退去なのかで負担率を変更するといった具体的な取り決めを行っておくことが大切です。退去の猶予期間については、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
例えば、小さな子供がいるケースでは転校を伴うケースもあり、タイミングを見計らわなくてはなりません。
次の入居先がなかなか決まらない、高齢で住み慣れた場所から離れたくないなどの理由から住み続けることを希望する人も。ケースバイケースではトラブルに発展する可能性が高いため、余裕を持った猶予期間を設定するほか、個々のケースを想定した対応方法を社宅管理規定に定めておくことが重要です。
トラブルが起きやすい社宅の物件とは
物件によりトラブルの発生確率は異なるため、どのような物件でトラブルが起きやすいか把握しておくことが大切です。
トラブルが起きやすい社宅の物件として、以下の3つが挙げられます。
- ペット可物件
- 定期借家物件
- 戸建て物件
それぞれの物件でなぜトラブルが起きやすいのか詳しく解説していきます。
ペット可物件
ペット可物件はペットの飼育を希望している従業員にとって魅力的な物件ですが、設備が特殊、室内の劣化が進行しやすいため、通常の物件と比較すると初期費用や原状回復費用が高額になりやすい傾向があります。
そのため、初期費用や原状回復費用を誰が負担するのかで揉める、敷金がほとんど返還されないことによってトラブルに発展することも多いです。
また、ペット可物件では、飼育可能なペットの条件、施設の利用方法といったルールを遵守しない、鳴き声が原因による騒音などで隣人トラブルも発生しやすいです。このように物件の付加価値がトラブルの原因となるケースもあるので注意してください。
定期借家物件
定期借家物件も通常の物件と比較するとトラブルが起きやすいので注意が必要です。その理由は、契約形態が通常の賃貸物件とは異なるためです。通常の賃貸物件は契約満了を迎えた場合は契約の更新について話し合いますが、定期借家物件の場合は契約の更新ではなく再契約についての話し合いとなります。
しかし、必ず再契約できるとは限りません。通常の賃貸物件は借主の権利が重視されますが、定期借家物件は貸主の権利が重視されます。再契約できなければ転居コストがかかる、転校といった負担を伴うことになるので注意が必要です。
戸建て物件
戸建て物件の場合は、集合住宅のように壁や床を隔てて隣人と接していないため、騒音のトラブルや隣人とのトラブルの回避が期待できます。
しかし、賃貸マンションや賃貸アパートと比較すると延床面積が大きく、原状回復費用が高くなりがちです。そのため、退去時にトラブルに発展しやすいということを理解しておく必要があります。
借り上げ社宅は賃貸マンションや賃貸アパートが一般的ですが、一部の企業では戸建て物件を借り上げ社宅に含んでいる場合もあるので注意しましょう。
社宅担当者が知っておきたいトラブル対策
社宅で起きやすいトラブルについての理解を深めた上で大切なのは、社宅担当者がトラブルを回避するための対策に関する知識を身に付けておくことです。社宅担当者が知っておきたいトラブル対策として、以下の2つが挙げられます。
- 入居者への説明をしっかり行う
- 社宅管理規定でしっかりルールを決める
それぞれのトラブル対策を詳しく説明していきます。
入居者への説明をしっかり行う
社宅で起きやすいトラブルを想定した上で入居者への説明をしっかり行うことが大切です。
例えば、社宅を提供する前に注意してほしいことやトラブルが発生した場合の連絡系統などについてしっかり説明することが挙げられます。口頭説明だけでは不十分です。後で確認できるようにメールや書面で注意事項や案内をまとめて渡しておく、担当者が変更になっても引き継ぎやすいようにマニュアル化しておくことも重要です。
社宅管理規定でしっかりルールを決める
前述の4つのトラブル回避のポイントで説明したように、トラブルの発生を想定して準備を進めておくことが大切です。
例えば、原状回復費用は誰が負担するのか、トラブル発生時に誰にいくらくらいの費用を支払うのかといった情報を事前に明確にしておく必要があります。
社宅管理規定を作成しておけば、社宅担当者だけでなく社宅利用者も適宜確認できるので、トラブルを未然に防ぎやすいでしょう。
社宅のトラブル対応もしてくれる「社宅代行」サービス
社宅管理が主に必要になるのは新規採用や転勤の時期に限られており、専門部署を設けるのは非効率的です。
一定の時期だけ専門部署を設けた場合には、普段の業務と並行して行うことになるため、社宅担当者の負担が大きくなります。
そこで便利なのが「社宅代行」サービスです。
社宅代行サービスとは、社宅に関する業務を専門の代行業者が代わりに行ってくれる仕組みです。社宅代行サービスを利用すれば、これまでに説明したトラブルを未然に防ぐことができる、トラブル発生時の対応や処理も行ってくれるので大幅に負担を軽減できるでしょう。
LIXILリアルティの社宅代行サービス
LIXILリアルティの社宅代行サービスでは、複雑で多岐におよぶ高い専門性が求められる社宅業務を80%以上削減することが可能です。
トラブルに対する専門的なアドバイスも惜しみなく行う、トラブル発生時のメールの返信や折り返しの電話の対応におけるレスポンスの早さなどもあってご好評をいただいています。
社宅業務のコストダウン、大幅な業務削減、柔軟なサービス対応を希望している社宅担当者、もしくはこれから社宅を導入しようと考えている企業様は一度ご相談ください。
まとめ
社宅担当者の業務には社宅の契約や解約、入退去の管理だけでなく、トラブルが発生時の対応も含まれます。社宅担当者のトラブル対応に不備があり、社宅利用者の不満が募って空室が目立つ場合、せっかく社有社宅や借り上げ社宅を有していても社宅を活かしきることができないので注意が必要です。
社宅でのトラブルを未然に防ぐためには、社宅担当者が社宅でどのようなトラブルが生じやすいのかを事前に把握し、対策を練った上で社宅管理に臨むことが大切です。しかし、社宅管理は常日頃から行われる業務ではありません。そのため、一部の部署が掛け持ちするケースが多く、非効率的になりやすいという問題点もあります。
トラブルを回避したい、社宅利用者の満足度を高めたい、コストダウンを図りたいという場合は、社宅管理のアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか?