はじめに
人事異動を行う際、異動先によっては引っ越しが伴うため、手続きなどの準備期間が必要です。そのため、人事異動を従業員に知らせる適切な時期や、異動が重なるタイミングでの社宅手続きなどの管理業務負担の軽減方法について知りたい人事・総務担当の方も多いのではないでしょうか。
今回は、人事異動が多い時期や人事異動の適切な内示時期を解説し、人事異動の多い時期に注意しておきたいことを紹介します。また、転居を伴う人事異動をスムーズに行う方法や、人事異動に伴う社宅管理業務の課題、社宅管理のコツなども解説します。
引っ越しを伴う人事異動を知らせる適切な時期や社宅管理のコツを把握できるため、人事・総務が担う社宅管理業務の負担軽減策を考える際にも、お役立ていただけるでしょう。
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人事異動が多い時期はいつ?
人事異動が多い時期は、企業や業界によって違いがあるものの、一般的には4月と10月が多いとされています。その理由として、多くの企業では3月、もしくは9月を決算に設定しており、4月1日や10月1日を人事異動の着任日としているためです。
人事異動を行う周期は、3~5年が多い傾向にありますが、業界や企業の考え方によって大きく異なります。従業員にさまざまな業務経験を積ませる「ジョブローテーション」に積極的な企業では、若手人材を1ヵ月・3ヵ月・1年などの短い周期で異動させるケースもあります。
人事異動の内示時期はいつが適切?
人事異動の内示時期は、異動の2週間~1ヵ月前が適切とされています。これはあくまで目安の一つであり、従業員の転居の有無によっても適切な内示時期は異なります。
転居を伴う人事異動と、転居を伴わない人事異動における内示時期について、それぞれ確認していきましょう。
転居を伴う人事異動の内示時期
転居を伴う人事異動の内示時期として、従業員が単身で転居する場合は、遅くとも転勤の1ヵ月前には伝えることが望ましいでしょう。引っ越しの準備や転居先を選定する期間を考慮して、なるべく早めに伝えることが大切です。
また、従業員の家族を伴う転居の場合、配偶者の仕事探しや、お子さまの転園、教育機関を移る手続きなどが発生するケースもあるため、転勤の3~6ヵ月前には内示を出せるようにしましょう。
海外異動の場合、引っ越しや住宅選定の手続きに加えて、パスポート・査証(ビザ)の取得なども必要になるので、単身であっても異動の3~6ヵ月前には内示を出すのがおすすめです。
転居を伴わない人事異動の内示時期
転居を伴わない人事異動の内示は、異動の2週間~1ヵ月前が適切といえます。直前に伝えるのではなく、従業員に対して時間の猶予を与えることで、現在の職務の引き継ぎや、新たな職務に関する事前学習などをスムーズに行えるようにするためです。
また、人事異動までに一定の期間を設けることで、従業員の心的負担が減り、新たな職務に対しても前向きな姿勢で取り組んでもらえる可能性がアップすることも狙えます。
人事異動の多い時期に注意しておきたいこと
人事異動の多い時期に、従業員の転居を伴う異動が発生した場合は、以下に注意する必要があります。
- 転居先が決まらない
- 異動日までに引っ越しができない
- 転居費用が高くなる可能性がある
上記の問題点について、詳しく確認していきましょう。
転居先が決まらない
人事異動の時期は、自社内だけでなく他企業とも重なることが多いため、転居先が決まらないというトラブルが発生する可能性があります。4月や10月に人事異動を行う企業が多く、特に4月は進学や新卒社員の入社などの新生活が始まるタイミングでもあるため、賃貸物件が見つかりにくくなったり、不動産会社とやり取りしづらくなったりする時期であるためです。
また、従業員が異動準備として引き継ぎなどで手一杯となり、転居先を探す時間をうまく確保できないケースがあることにも注意が必要です。場合によっては、企業が転居先探しに関して人事や総務でサポートすることを検討しなければなりません。
異動日までに引っ越しができない
異動日までに従業員の引っ越しができないケースがあることに注意しましょう。特に3~4月頃は進学や新卒社員の入社時期でもあり、引っ越しする人が増えるため、引っ越し業者の予約が取りづらい傾向にあります。
異動日までに引っ越しが間に合わなかった場合は、企業側が負担して、従業員にホテルや短期賃貸マンションに一時滞在してもらう必要が出てくる可能性もあります。引っ越しの距離や荷物量にもよりますが、引っ越し作業は従業員が休日のタイミングで進めてもらうことが一般的です。
転居費用が高くなる可能性がある
人事異動が多い時期は、転居費用が高くなる可能性があるので注意が必要です。また、先述したように転居先が決まらない場合はホテルステイをする費用なども発生するため、転居費用がさらに増えるおそれがあります。
企業によっては、転居を伴う人事異動の際、引っ越し費用やホテルへの宿泊費、交通費などを自社で負担するので、費用負担が大きくなることに留意しなければなりません。
転居が伴う人事異動をスムーズに行う方法
人事異動が重なる時期に、転居を伴う人事異動をスムーズに進めるには、以下の方法を検討してみましょう。
- 人事異動の時期をずらす
- 異動日まで余裕を持たせた日程で内示を行う
- 社宅制度を導入する
上記の方法について、それぞれ詳しく解説します。
人事異動の時期をずらす
転居を伴う人事異動の場合、一般に人事異動が多いとされる4月や10月の時期ではなく、その他の時期に調整するのも手です。人事異動の時期をずらすことで、転居先をスムーズに探しやすくなるほか、引っ越し費用を抑えることにもつながり、企業と従業員の双方の負担を軽減できます。
異動日まで余裕を持たせた日程で内示を行う
企業によっては、転居を伴う人事異動のみ時期をずらすという方法が取れないことも多いでしょう。従業員が住居探しや仕事の引き継ぎに十分な時間を割けるように、異動日まで余裕を持たせた日程で内示を出すようにするのがおすすめです。
社宅制度を導入する
従業員が賃貸住宅を契約するのではなく、企業が社宅制度を導入しておけば、転居を伴う人事異動の際に従業員が住居探しに困ることがなくなります。
一口に社宅制度といっても、企業が保有する物件を従業員に提供する「社有社宅」と、不動産業者から借り上げた物件を従業員に貸与する「借り上げ社宅」の2種類があります。例えば、借り上げ社宅の場合、従業員から賃料相当額の50%以上を受け取ることで、経費としての処理が可能です。
また、社宅制度を導入すれば、従業員が住居を探す手間を省けるので、現在の職務の引き継ぎなどに専念できるメリットがあります。ただし、社宅制度の導入に伴い、企業側が手続きを行う負担などが増えるというデメリットには留意が必要です。
社宅制度導入の具体的なメリットとデメリットや、導入までの流れや運用方法について詳しくまとめた記事がございます。
>>借り上げ社宅とは?メリット・デメリットをふまえた導入の流れと注意点
人事異動にともなう社宅管理業務の課題
社宅制度は、転居を伴う人事異動をスムーズに行うために有効な方法です。ただし、社宅管理業務では以下のような課題が発生するので留意しておきましょう。
- 管理数・手続き数の増加
- 人事異動が多い時期の引っ越し手配
- 物件の少ないエリアへの異動時の社宅手配
それぞれの課題について、以下でチェックしていきましょう。
管理数・手続き数の増加
人事異動時には、社宅管理業務や手続きが増加するという課題があります。企業として円滑に事業を運営するためにも、着任日は厳守しなければならず、社宅管理の手続きを遅らせるわけにはいきません。
具体的には、社宅の退去・入居の手続きや引っ越しの手続き、水道・ガス・電気の手配などが挙げられます。特に、異動が多い時期や新入社員を迎える4月の時期には、本来のコア業務が圧迫されるほどの業務量になるケースもあるので注意が必要です。
人事異動が多い時期の引っ越し手配
人事異動が多い時期は引っ越し業者の繁忙期となるため、引っ越しの手配が困難になるケースがあります。従業員が引き継ぎなどで多忙な場合には、人事・総務が従業員に代わって引っ越し手配を行うこともあるため、手配漏れがないよう気をつけておきたい項目です。
また、繁忙期の引っ越し料金は、通常期よりも1万円~5万円ほど高めに設定されており、引っ越し費用の企業負担が増してしまいがちです。早割など少しでも安く手配できるよう工夫することも大切です。
物件の少ないエリアへの異動時の社宅手配
物件がもともと少ないエリアへ異動する場合や、社宅として利用できる物件が少ない場合は、従業員向けの社宅を用意するのが難しいケースもあります。
企業によっては、新入社員などの研修時のみマンスリー物件を手配するケースもありますが、手配が早すぎると賃料が余分にかかる一方、手配が遅れると物件が見つかりづらくなるリスクもあります。異動タイミングと物件の手配時期を適切に調整する必要があり、負担のかかる業務の一つです。
人事異動時の社宅管理のコツ
人事異動時の社宅管理において、負担を軽減するには3つのコツを意識しましょう。
- 社宅利用時のマニュアルを用意しておく
- 繁忙期だけ人員増加をする
- 社宅代行サービスを利用する
社宅管理のコツについて、以下で詳しく解説します。
社宅利用時のマニュアルを用意しておく
社宅を利用する際のマニュアルを用意しておくことで、従業員に説明する手間を省いて、スムーズに手続きを進められます。具体的には、住所変更に伴って従業員が行う以下のような手続きに関して、マニュアルを作成しておくと良いでしょう。
- 住民異動届の提出
- 公的証明書・資格証の住所変更
- 賃貸物件の退去通知
マニュアルにしたがって従業員が転居の準備を円滑に進められれば、社宅管理者の負担も減ります。
繁忙期だけ人員増加をする
従業員の異動が重なる繁忙期のみ、社宅管理に関する人材を増員することで負担軽減につながります。増員によって1人あたりの業務量が減るため、作業ミスの防止や、サポートの充実化による従業員満足度のアップなどのメリットも見込まれます。
ただし、一時的に増員する場合、有期雇用の派遣スタッフなどを雇用するケースが想定されますが、育成にコストがかかることは考慮しておかなければなりません。また、想定したとおりに社宅管理の手続きが進むとは限らないので、スケジュールに柔軟に対応できる体制作りが不可欠となります。
社宅代行サービスを利用する
自社における社宅管理業務を外部に委託できる社宅代行サービスを利用すれば、煩雑な社宅管理に関する業務のほとんどを任せられることがメリットです。社宅・引っ越しの手配はもちろん、原状回復費用見積書の精査・提案や、社宅付随業務の管理などを任せられます。
社宅管理の負担が減ることで、人事・総務担当者がコア業務に集中しやすい環境へと整備でき、業務効率化にもつながります。また、社宅管理に関する豊富なノウハウが持つ専門家に委託することで、社宅業務のコストダウンの効果も期待できるでしょう。
社宅代行サービスで負担を軽減
社宅代行サービスを利用し、社宅管理業務をアウトソーシングすることにより、自社における社宅管理の負担を軽減できます。従業員がコア業務に集中できるようになり、社宅業務のコスト削減も見込まれるでしょう。
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まとめ
人事異動の適切な内示時期は、転居の有無によって変わります。特に、転居を伴う人事異動の場合、従業員の転居先が決まらなかったり、異動日までに引っ越しができなかったりする可能性を考慮し、なるべく早めに内示することが重要です。
転居を伴う人事異動をスムーズに行うには、人事異動の時期をずらす、社宅制度を導入するといった方法を検討すると良いでしょう。社宅代行サービスを導入すれば、社宅管理者の負担を抑えて、業務効率化を図りながら円滑な社宅管理を実現できます。
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