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  4. 福利厚生に利用できる助成金の種類やメリットについて解説

福利厚生に利用できる助成金の
種類やメリットについて解説

はじめに

自社の負担を減らすため、福利厚生に利用できる助成金の種類を知りたいと思っている企業の人事・総務担当者は多いのではないでしょうか。助成金の種類は複数あり、利用できる福利厚生の内容も変りますので、事前に詳細を把握しておくことが重要です。

今回は、福利厚生を整備する重要性を解説したうえで、福利厚生に助成金を利用する際の概要やメリット、デメリットなどを解説します。さらに、福利厚生に利用できる助成金の種類や、助成金の活用におすすめの福利厚生制度なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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福利厚生を整備する重要性

福利厚生の文字ブロック

福利厚生は、従業員に対して給与・賞与とは別に与える報酬のことです。健康保険や介護保険、厚生年金などの「法定福利厚生」は、法律で設置が義務付けられています。

また、住宅手当や健康診断補助など、企業が任意で導入する「法定外福利厚生」も、従業員が働きやすい労働環境・生活環境を整備するために重要です。

福利厚生を適切に導入することで、従業員が働く上でのモチベーションを高められるほか、従業員間のコミュニケーションを活発にするといったメリットが見込まれます。

福利厚生を充実させるポイントについては、こちらの記事で解説しています。
>>従業員の満足度アップ!福利厚生を充実させるポイントを解説

福利厚生には助成金が利用できる

助成金の文字ブロック

企業が福利厚生を導入する際、国や自治体から助成金を受け取れるケースがあります。ただし、助成金は公的資金を財源としているため、受給するには一定の要件を満たさなければならず、申請や審査も必要です。

ここでは、助成金の概要や補助金との違いについて詳しく見ていきましょう。

助成金とは

助成金とは、法人あるいは個人事業主を支援するために国や自治体が支給するお金です。支給の目的は、資金の提供によって雇用や職場における課題解決を支援することです。

主に厚生労働省が助成金を管轄しており、受給するには助成金の種類ごとに設けられた一定の要件をクリアして、審査に通らなければなりません。なお、助成金は金融機関の融資などとは異なる支援制度であり、受給しても返済が不要です。

補助金と助成金の違い

補助金は、主に経済産業省や中小企業庁、地方自治体などが管轄している給付制度です。助成金と同様、受給後に返済する必要はありません。ただし、助成金が雇用の増加・安定といった支援に使われるのに対し、補助金は技術開発や商店街の活性化といった用途に使われることに違いがあります。

また、助成金は要件を満たす事業者が適正な申請手続きを踏めば受給できる可能性の高い制度です。一方、補助金は要件を満たすことは前提であり、優秀な提案のみが採択されるという点も異なります。

助成金を利用するメリット

メリットの文字ブロック

助成金を利用し、福利厚生の整備に役立てることには、以下のようなメリットがあります。

  • 返済が不要
  • 自社の労働環境を整備できる
  • 企業の信頼性が担保される

それぞれのメリットについて、詳しく確認していきましょう。

返済が不要

前述のとおり、国や自治体から支給される助成金は銀行からの融資金と異なるため、返済が不要です。返済不要の理由として、助成金は企業及び従業員が支払っている雇用保険料や税金が、その資金源となっていることが考えられます。

また、受給した助成金は営業外収益の「雑収入」として計上されるため、福利厚生にかかる経費を補助し、経営上の負担を軽減できます。なお、助成金制度の多くは中小企業を優遇した要件が設けられています。自社が該当する場合は積極的に申請を行い、福利厚生をはじめとした社内環境の整備に役立てましょう。

自社の労働環境を整備できる

助成金を活用すれば、自社の資金のみでは整備が難しかった福利厚生の導入や、職場環境の改善に役立てることができます。福利厚生を充実させて従業員満足度の向上を目指している企業は活用を検討すると良いでしょう。

ただし、助成金の受給を目的に福利厚生を導入すると、本末転倒になるおそれがあるのでおすすめしません。あくまで自社の労働環境に適している福利厚生や、従業員のニーズが高い福利厚生を導入・運用することで、より有意義な福利厚生制度になる可能性が高まります。

企業の信頼性が担保される

助成金制度を申請・利用するにはさまざまな要件をクリアしなければならないため、助成金を受給できた企業は、社会的な信頼性が担保されるというメリットもあります。

助成金の申請に向けて労働環境や就業規則、労働基準などの整備が必要になることもあるので、助成金が支給される企業は公的なお墨付きを与えられたとも捉えられるでしょう。このように、助成金を受け取ることで福利厚生の充実化を図れるだけでなく、企業のブランディングに貢献してくれるメリットがあります。

福利厚生を充実させるメリットについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
>>福利厚生を充実させるメリット6選!トレンドやデメリット解消方法も

助成金を利用するデメリット・注意点

デメリットの文字ブロック

福利厚生の導入に際し、以下のようなデメリット・注意点に留意しておく必要があります。

  • 申請に手間がかかり大変
  • 受給までに時間がかかる
  • 助成金制度は見直される可能性がある

ここでは、助成金の申請や利用に向けて、デメリット・注意点について確認していきましょう。

申請に手間がかかり大変

企業が助成金を申請するにあたり、さまざまな必要書類を不備なく作成する必要があるため、担当者の負担が大きくなることには留意しておかなければなりません。助成金制度によっては、追加書類の提出を求められたり、問い合わせに適切に対応したりする必要があります。

書類の作成・準備の事務処理に不備があった場合は、助成金を受給できない可能性もあります。なお、助成金の申請に用いた支給申請書や添付書類の写しなどは、支給が決定してから5年間は保存する義務が課されています。

受給までに時間がかかる

助成金は申請してすぐに受給できるわけではなく、長い場合は受給まで1年以上の期間がかかることもあるので注意しましょう。実際に助成金を受給できるまでの期間は、自社の資金のみで福利厚生を運用していかなければならないため、余裕のある資金計画を立てる必要があります。

助成金の支給が確定している場合、一時的に金融機関から融資を受けて福利厚生の運用に利用し、受給した助成金を返済に充てるという手もあります。

助成金制度は見直される可能性がある

助成金制度は、企業に対して適切な支援を行ってくれるものの、社会情勢の変化などによって制度が見直される可能性があることに注意が必要です。例えば、助成金制度の内容や支給条件が変わったり、制度そのものが廃止されたりするケースがあります。

そのため、助成金制度が継続的に受給できることを前提に、福利厚生の運用を計画するのは避けたほうが良いでしょう。あくまで一時的な支援制度として助成金を利用し、将来的に福利厚生は自社の資金などですべて運用できる体制にすることが重要です。

福利厚生に利用できる助成金の種類

>色とりどりの書籍が並んでいる様子

福利厚生に利用できる助成金として、主に以下の4種類が挙げられます。

  • 両立支援等助成金
  • 人材開発支援助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材確保等支援助成金

ここでは上記4つの助成金の詳細を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、働きながら育児や介護などを行う従業員の継続的な雇用に向けて、就業環境を整備している事業者を支援するための助成金制度です。助成金の支給によって事業者の取り組みを促進し、従業員の雇用安定化を図ることを目的としています。

令和6年度の両立支援等助成金は、以下6つのコースに分かれています。

  • 出生時両立支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 育休中等業務代替支援コース
  • 柔軟な働き方選択制度等支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 不妊治療両立支援コース

※出典:厚生労働省「両立支援等助成金(令和6年度)」

例えば、従業員が育休の福利厚生を活用する際は、「出生時両立支援コース」や「育児休業等支援コース」の助成金を利用できる可能性があります。また、従業員が不妊治療に関する休暇制度・両立支援制度を5日(回)以上利用する場合は、「不妊治療両立支援コース」の助成金を利用できます。

なお、両立支援等助成金の支給対象は、中小企業の事業主のみとなります。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、職務に関連する専門的な知識・技能の習得を目的に、従業員に対して職業訓練等を実施したような場合、訓練経費や訓練期間中の賃金を一部助成する制度です。この助成金制度には、以下のようなコースがあります。

  • 人材育成支援コース
  • 教育訓練休暇等付与コース
  • 人への投資促進コース
  • 事業展開等リスキリング支援コース
  • 建設労働者認定訓練コース
  • 建設労働者技能実習コース
  • 障害者職業能力開発コース

※出典:厚生労働省「人材開発支援助成金」

上記のうち、「教育訓練休暇等付与コース」は、3年間に5日以上を取得できる「教育訓練休暇制度」の福利厚生を導入し、従業員が実際に休暇を取得して訓練を受けた場合などに助成されます。制度導入に対して30万円を支給するとしているため、企業における教育訓練の費用負担を減らせることがポイントです。

自社のニーズに適した休暇制度の福利厚生を導入することで、このような助成金を受け取れる可能性があります。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者のキャリアアップの促進に向けて、正社員化や処遇改善などに取り組んだ企業に対して助成する制度です。この助成金制度は、正社員化を支援するのか、処遇改善を支援するのかによって以下のように大別されます。

正社員化支援 正社員化コース
障害者正社員化コース
処遇改善支援 賃金規定等改定コース
賃金規定等共通化コース
賞与・退職金制度導入コース
社社会保険適用時処遇改善コース

※出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金」

上記のうち、福利厚生にも利用できる助成金のコースとしては、「社会保険適用時処遇改善コース」が挙げられます。この助成金コースは、短時間労働者を新たに社会保険に適用させ、賃上げや労働時間の延長によって賃金総額の増加に取り組んだ企業が支給対象です。

例えば、賃金総額を増加させる取り組みなどを行った場合、1年目の取り組みでは中小企業に対して40万円、大企業に対して30万円の助成金が支給されます。なお、令和6年9月時点で、「社会保険適用時処遇改善コース」は令和8年3月31日までの暫定措置となっています。

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、人材の確保・定着に向けて魅力ある職場づくりを行い、労働環境等の向上などを図る企業に対して助成する制度です。この助成金のコースは以下のように分かれています。

  • 雇用管理制度助成コース
  • 中小企業団体助成コース
  • 人事評価改善等助成コース
  • 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
  • 外国人労働者就労環境整備助成コース
  • 外テレワークコース
  • 派遣元特例コース

※出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金のご案内」

上記のうち、企業の福利厚生と関連性の高い助成金コースとして、「テレワークコース」があります。これは、良質なテレワークを制度として導入・実施し、人材確保や雇用管理改善などを図った中小企業が対象の助成金コースです。

助成額は、「機器等導入助成」に該当する場合、1企業あたり支給対象経費の50%が助成されます。一方、「目標達成助成」に該当する場合、1企業あたり支給対象経費の15%が原則助成されます。ただし、どちらに該当する場合も上限額が設けられており、以下のいずれか低い金額が上限です。

  • 1企業あたり100万円
  • テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

また、岩手県、宮城県、福島県で作業員宿舎や賃貸住宅を賃借した中小建設事業主等を対象とした「作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)」など、住宅関連の福利厚生に利用できる助成金のコースもあります。

助成金の活用におすすめの福利厚生制度

おすすめの文字ブロック

ここからは、助成金の活用におすすめの福利厚生制度について紹介します。

従業員のスキルアップ制度

助成金を活用できる可能性のある福利厚生として、従業員のスキルアップを支援する制度が挙げられます。具体例としては、研修やセミナー、資格取得費用を援助する福利厚生などです。

また、近年は技術変革やビジネスモデルの変化に対応するため、新しい知識やスキルを習得するリスキリングの重要性が高まっています。リスキリング中の従業員の賃金やリスキリング制度の導入・運用にも、助成金を活用できるケースがあります。

多様な働き方を支援する制度

多様な働き方を支援する福利厚生制度を設ける場合も助成金を受給できるケースがあります。例えば、育児・介護と仕事の両立をサポートしたり、遠隔地に住んでいる従業員を採用できるようにリモートワーク制度を整備したりすることが該当します。

従業員の多様な働き方を叶えられる労働環境に整えることで、従業員のエンゲージメントの向上や離職率の低下といった効果も期待できるでしょう。

最低限導入するべき福利厚生については、こちらの記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。
>>福利厚生の最低ラインと導入するとよい法定外福利厚生とは

助成金を利用してよりよい福利厚生制度に

ワークライフバランスのイメージ

自社に適した助成金を利用して、よりよい福利厚生制度へ改善していくことは重要です。しかし、福利厚生はあくまで従業員が働きやすい労働環境・生活環境を整備することが目的の制度です。助成金があるものばかりを優先するのではなく、従業員のニーズが高い福利厚生を導入することをおすすめします。

例えば、企業が借り上げた物件や社有物件を提供する「社宅制度」は、従業員の家賃負担が軽減できるということもあり、人気の高い福利厚生です。一定の要件を満たす場合には、社宅にかかった企業負担分を経費として計上できるメリットもあります。

ただし、社宅制度を福利厚生として維持するには、運用コストや担当者の人件費がかかってくることに注意が必要です。特に、社宅制度を利用する従業員が多い場合は、業務負担も大きくなりやすいでしょう。

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まとめ

企業が導入する福利厚生の種類によっては助成金を活用できます。助成金を利用すれば、自社の労働環境を整備できたり、企業の信頼性が担保されたりするなどのメリットがあります。福利厚生に利用できる助成金の種類は複数あるため、自社の福利厚生の内容に合わせて申請を検討してみましょう。

なお、福利厚生を充実させるには、従業員からの人気が高い「社宅制度」などの導入・改善に取り組むことも重要です。LIXILリアルティの社宅代行サービスでは、新規・既存の社宅の代行委託に関するご相談はもちろん、他社の代行サービスからの切り替えに関するご相談にも対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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